出典:怪物事変 コミックス1巻より
怪物事変の単行本1巻に出てくる『泥田坊』という妖怪の名前。
名前のイメージから、泥田坊は泥や田んぼがある場所に潜んでいるような感じがします。
作中では毎日畑仕事で泥まみれになっている夏羽が、村のみんなにそう呼ばれていましたが、一体どんな妖怪なのでしょうか。
今回は妖怪『泥田坊』について調べてみました。
出典:TVアニメ『怪物事変』公式サイトより
『怪物事変』はジャンプスクエア2017年1月号から連載中の藍本松さんによる漫画作品。
2021年1月から3月までTVアニメが放送されました。
このページでは怪物事変についてまとめています。
※ネタバレ情報あり
泥田坊とはどんな妖怪?
泥田坊(どろたぼう)は鳥山石燕による画集「今昔百鬼拾遺」にある日本の妖怪です。
見た目は、体が泥になっていて上半身だけが田んぼから出ています。顔は老人のようで目は一つ、指は3本しかありません。夜な夜な「田を返せ、田を返せ」という言葉と同時に田んぼから現れます。
「今昔百鬼拾遺」による解説文↓↓
むかし北国(ほくこく)に翁あり子孫のためにいささかの田地をかひ置て寒暑風雨をさけず時々の耕作おこたらざりしに この翁死してよりその子 酒にふけりて農業を事とせずはてにはこの田地を他人にうりあたへれば夜な々々目の一つあるくろきものいでて 田をかへせ々々とののしりけり これを泥田坊といふとぞ
昔、北陸地方に住む勤勉な老人がいました。その老人は子孫に田んぼを残そうと思って買い込み、その後その老人は亡くなってしまいます。息子はその老人がいなくなり、農業を継ぐのかと思われましたが、継ぐどころか酒ばかり飲んで遊びふけり、終いにはその老人が残した田んぼを他人に売ってしまいます。
老人は怨念から、その他人の買った田んぼから夜な夜な出てきて、「田を返せ、田を返せ」と叫びました。
「泥田坊」という名前の由来については、無意味なことをするという意味の「泥田を棒で打つ」ということわざの説や、鳥山石燕と交流があったと推測される品川玄湖の狂歌師としての雅号・泥田坊夢成(どろたぼうゆめなり)に由来しているという説があります。
鳥山石燕について
鳥山 石燕(とりやま せきえん)は正徳2年(1712年)から天明8年23日(1788年9月22日)の間、江戸時代中期に妖怪画を多く書いたことで知られる画家・浮世絵師です。
安永5年(1776年)に版本として刊行された妖怪画集「画図百鬼夜行(がずひゃっきやこう)」が高評を得て、3年後の安永8年(1779年)には続篇として「今昔画図続百鬼(こんじゃくがずぞくひゃっき)」を刊行し、以後さらに安永10年(1781年)には「今昔百鬼拾遺(こんじゃくひゃっきしゅうい)」、天明4年(1784年)には「百器徒然袋(ひゃっきつれづれぶくろ)」を世に出しました。
本名は佐野 豊房(さの とよふさ)で、喜多川歌麿や恋川春町、栄松斎長喜や歌川豊春などの数多くの弟子を残しました。
鳥山石燕の妖怪画は後世の画家たちにも多くの影響を与えました。
「妖怪」を表すイメージが鳥山石燕の影響だったり、鳥山石燕の作品の妖怪が使われていたりと、日本人に大きな影響を与えています。日本人が持つ妖怪のイメージは、漫画家の水木しげるに拠るところも大きいですが、水木しげる自身も鳥山石燕の妖怪画を取材したものが多いので、日本人が思い描く妖怪は鳥山石燕が大きく占めていると言っても過言ではありません。
今昔百鬼拾遺について
「今昔百鬼拾遺(こんじゃくひゃっきしゅうい)」は、1781年(安永10年)に刊行された鳥山石燕の妖怪画集で、「雲・霧・雨」の上中下3巻構成になっています。
上之巻/雲
蜃気楼(しんきろう)/燭陰(しょくいん)/人面樹(にんめんじゅ)/人魚(にんぎょ)/返魂香(はんごんこう)/彭候(ほうこう)/天狗礫(てんぐつぶて)/道成寺鐘(どうじょうじのかね)/燈台鬼(とうだいき)/泥田坊(どろたぼう/古庫裏婆(こくりばば)/白粉婆(おしろいばば)/蛇骨婆(じゃこつばば)/影女(かげおんな)/倩兮女(けらけらおんな)/煙々羅(えんえんら)
中之巻/霧
紅葉狩(もみじがり)/朧車(おぼろぐるま)/火前坊(かぜんぼう)/蓑火(みのび)/青行燈(あおあんどん)/雨女(あめおんな)/小雨坊(こさめぼう)/岸涯小僧(がんぎこぞう)/あやかし/鬼童(きどう)/鬼一口(おにひとくち)/蛇帯(じゃたい)/小袖の手(こそでのて)/機尋(はたひろ)/大座頭(おおざとう)/火間虫入道(ひまむしにゅうどう)/殺生石(せっしょうせき)/風狸(ふうり)/茂林寺釜(もりんじのかま)/
下之巻/雨
羅城門鬼(らじょうもんのおに)/夜啼石(よなきのいし)/芭蕉精(ばしょうのせい)/硯の魂(すずりのたましい)/屏風闚(びょうぶのぞき)/毛羽毛現(けうけげん)/目目蓮(もくもくれん)/狂骨(きょうこつ)/目競(めくらべ)/後神(うしろがみ)/否哉(いやや)/方相氏(ほうそうし)/瀧霊王(たきれいおう)/白沢(はくたく)/隠里(かくれざと)
泥田坊が出てくるアニメ
「ゲゲゲの鬼太郎」
複数のシリーズで登場します。田んぼを守るために敵として現れます。
「妖怪ウォッチ」
劇場版第1作で登場します。ケイゾウのともだち妖怪です。
まとめ
泥田坊は老人の怨念から生まれた妖怪のようですね。子孫のためにせっかく買った田んぼが大事にしてもらえず、結局他の人に売られてしまって、少し気の毒な気もしました。夜な夜な田んぼから出てくる姿を想像すると怖いですが(^ ^;)
デザインを考えた鳥山石燕という人は他にもたくさんの妖怪を生み出していたようでした。妖怪画集の中にもいろいろな種類の妖怪がいましたが、知っている妖怪はいたでしょうか(?_?)
今までテレビや本などで見てきた妖怪たちも石山石燕という人物によって生み出された妖怪が多いということで驚きました★
妖怪の中には悪さをするものもいますが、泥田坊はそこまで悪い妖怪ではないのではないかという印象です。
怪物事変第1巻では「泥田坊」という言葉が多く出てきます。読んでいてどんな妖怪なのか気になっていましたが、主人公の夏羽は村のみんなから妖怪「泥田坊」と呼ばれていて、体の構造や性格などとは関係なく、毎日土や肥料で全身が汚れていることからそう呼ばれているようでしたね。
ちなみに第1話のタイトルも「鹿の子村の泥田坊」です。〝泥田坊〟という名前が入ってます!
漫画では第1話で村を旅立ち、第2話から本格的に話が始まります。
今回は夏羽が村で呼ばれていた名前の妖怪「泥田坊」について調査をしました。
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